■批評祭参加作品■七〇年代詩の均質性/岡部淳太郎
 
くなるような)共通の雰囲気を彼等が体現していたことは確かだと思われる。


いまわたしは、埼玉銀行新宿支店の白金(はっきん)のひかりをついてあるいている。ビルの破音。消えやすいその飛沫。口語の時代はさむい。葉陰のあのぬくもりを尾けてひとたび、打ちいでてみようか見附に。

(荒川洋治「見附のみどりに」詩集『水駅』)


 おそらく荒川洋治のこのような詩句、とりわけその中に含まれた「口語の時代はさむい」という広告コピーのような一節が詩壇ジャーナリズムの口の端に上った時から、「七〇年代詩」は始まったのだろうと思われる。また、平出隆が吉岡実の影響が顕著な連作「花嫁」で詩壇に登場
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