■批評祭参加作品■七〇年代詩の均質性/岡部淳太郎
 
登場してきた時、前世代の影響をあからさまに見せながらもどこか妙なとまどいを見せる詩句の中に、詩壇ジャーナリズムは現代詩の行き着く先を夢想したのかもしれない。


ぼくの花嫁は花嫁衣裳
あるいは
荒縄で編まれた袋のなかで
日付のない夜の唄を槌うつ
具体的にはくしゃみをする

ぼくの花嫁は花束を持たぬ
愛すれば暴発する拳銃をむしろ握る
墓石のあける朝
あした襲撃する花曇りの青の宇宙を
ぼくの花嫁は背泳ぎする

(平出隆「花嫁?」)


 影響というより、「まんま吉岡実」とも言えるようなその詩句は、読んでいて微笑ましくさえある。また、稲川方人の長篇詩とも断章集と
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