■批評祭参加作品■夭折をあきらめて夜が明けてゆく/岡部淳太郎
 
のかもしれない。誰かからおまえは甘えているのだと言われたならば、何も言い返すことが出来なかっただろう。いま思い返してみると、まったくその通りだと言うしかない。毎日きちんと食事を与えられ、教育を受けさせてもらえる、そんなぬくぬくとした生暖かい環境の中で、心の中の観念を弄んで甘えていたに過ぎないのだ。
 だが、時は万人に共通に流れる。僕のような大人になりきれない未熟な者も、いやおうなしに年齢を重ねていく。若くして死ぬことは、ひとつの物語として見るならば確かに美しいものかもしれない。だが、この世の中において何も達成出来ずに死んでしまうのは、あまりにも淋しすぎる。僕は夭折に憧れながらも、ひと通りの仕事、
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