旅の終わりに〜善光寺にて〜(仮)/服部 剛
旅の終わりに訪れた
夕暮れの善光寺
巨(おお)きい本堂脇の砂利道に音をたて
紫のマフラーを垂らした
小さい背中の君が歩いてた
「 あの・・・○○さん・・・? 」
「 あ・・・はい・・・ 」
僕等は善光寺を背に
真っ直ぐな石畳の道を歩き
いくつかの大きい門を抜け
今まで交わしたメールのことを話した
喫茶店に入り
向かいの席に座った君は
少し大きい黒縁めがねの下に
笑顔を浮かべながら
「散る花の美意識」を語り
咲き始めた花を見守るようなまなざしで僕は
「人生を変える一冊の本」について語った
ポケットから
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