思春期の門/結城 森士
 

ニーチェ著「ツァラトゥストラはかく語りき」より 一部、内容抜粋


深淵の世界には 誰もが行き着く門があり 
門の傍に一人の人間がいて僕は彼に誓った
「求道の門を抜ける」
彼は一度だけ僕に確認した
「この門の内側に暫く居るとあらゆることを忘れていく
 愛や笑顔、生きる理由、感情、既成概念、信じる心
 そして自分がこの門の中に入ったことさえ忘れてしまう
 それでも良いのか」
それで構わないと僕は答えた

見えない門を潜ると内側には何もない
彼は僕に言った
「まずは駱駝に 次に龍に 最後に子供になる」
その後は霧に包まれて全て消えた

門の内側には唯一
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