冷たい花/はな 
 
花瓶の中の水曜日は
ゆっくりとながれてゆく
水のように透き通って
ざらついた日々が
回覧板にぶらさがってる


今はビニールの袋に音もなくおさまっている
でもそれも
ちりぢりになったものを抱くように
ほんとうはどうにかまあるくしている


バスタブの中で
突然悲しみがふってくる
何だかわからないまま泣いていると
湯気の中でやけにくっきりと
縞模様が 
ゆれた


彼女の髪の毛の分け目や
飛行機の地鳴り
澄んでゆくいくつかの足音
大好き、と言った
小さな声や
つまらないお説教を聴く 
る、ら、ら、
柔らかくて優しい だなんて
このりんと鳴る冬
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