たそがれ駅17時05分発/あおば
 
5分前に着いた

時の記念日の声に
桜草の声に
促されて売り出された
音の出るテレビと
絵の出る絵本を追い払い
螺旋階段のある駅ビルに
不思議な国の子供たちを
氷詰めにして持って来た

愉快な行進曲を聴きながら
定刻に勇敢な
電車が出て行くのを見送る

風林火山の旗の下
柳生十兵衛が立つ
座った姿勢では闘えない

拳銃指南役が隙を窺う
撃鉄が落ちてきた
時雨が流れてきた
鉄砲鍛冶が傘を差して
薄暗い峠道を越える
甘酒ありますの幟に
目もくれないで急ぐ

再びガタンゴトンと威嚇する
電車のジョイントの音がして
自動遮断機が下りる
次の駅に着
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