お皿の傘 〜はっとりんぽえむ・その1〜 /服部 剛
 
雨が降る日に鎌倉の寺に行き 
賽銭箱に小銭を投げて 
ぱんぱんと手を合わせ 
厳粛な顔つきで 
びにーる傘をさしながら 
帰りの細道を歩いていたら 
濡れた路面につるんとすべって尻餅ついた 

誰もいない道の真ん中で 
なぜだかとってもはずかしく 
何事もないそぶりで 
すっと立ち 
傘をさしたら 
変わり果てた姿になっており 
ひっくり返ったお皿の傘をさしたまま 
阿呆(あほう)のように細道を歩いた 

( これ、捨てちゃおうか・・・? 
( いやいやいかん・・・ 
( このおんぼろ傘は 
( 日常で愛を求めてはずっこける 
( おいらの化身のよう
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