お皿の傘 〜はっとりんぽえむ・その1〜 /服部 剛
雨が降る日に鎌倉の寺に行き
賽銭箱に小銭を投げて
ぱんぱんと手を合わせ
厳粛な顔つきで
びにーる傘をさしながら
帰りの細道を歩いていたら
濡れた路面につるんとすべって尻餅ついた
誰もいない道の真ん中で
なぜだかとってもはずかしく
何事もないそぶりで
すっと立ち
傘をさしたら
変わり果てた姿になっており
ひっくり返ったお皿の傘をさしたまま
阿呆(あほう)のように細道を歩いた
( これ、捨てちゃおうか・・・?
( いやいやいかん・・・
( このおんぼろ傘は
( 日常で愛を求めてはずっこける
( おいらの化身のよう
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)