夢の国のアリス/独白/渡邉建志
 
「わたしが死んだ後、わたしの『憧れ』はどうなってしまうのかしら。『憧れ』はわたしから遠くに飛んでいくものだから、いまもわたしの中にあるのかしら。それとももう飛んでしまってどこかにいるのかしら。どこかにいるのならば、わたしが死んでしまって、空気中のどこかをさまよって、いつか誰かのこころの中にたたずんでくれるから安心よ。いえ、わたしの『憧れ』はひととこでじっとしていたりしないわ、きっとすぐちょうちょのように飛んでいってしまうの、そしていつかあの人のところにたどり着くかもしれないわ、それなら安心なのだけど。でもわたしが死んだ後も、わたしの『憧れ』は飛び続けていくのかしら。いまはわたしから遠く離れて飛んで
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