空は空/アンテ
 

                      26時 @ハト通信

雨の日には
縁側にコップを並べて
軒から落ちる滴を聴く
とても気持ちのいい響きも
トンチンカンなメロディも
一様に
辺りをひとしきり転がってから
空に帰っていく
伝えたいこと
伝わらないこと
が渾然一体となって
景色を叩く雨音にかき消されて
最初からなかったことになる

曇りの日には
虫取り網を持ち出して
屋根にのぼる
柄をいっぱいに伸ばして
それでも足りずに爪先立ちして
微かな手応え
を逃さずに引き寄せても
網は空っぽのまま
風が笑っている
よぉし そっちがその気なら
泣きじ
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