故郷/円谷一
故郷へ訪れようと想像すると
胸の中の世界の海底に沈み込む
思い出したくない傷付きたくない
忘却したいという
自己防衛機能が働いるのかもしれない
此処へ移り住んだ時には
希望と夢でいっぱいだったが
君が亡くなった時から既に
それらの崩壊音が
聞こえていたのかもしれない
此処で後悔と失望を味わって
故郷への哀愁が滲み出してくると
すぐに故郷へ帰ったのだが
そこで共に成長した人々が
まるで変わってしまっていて
冷たく
時の流れを感じ 絶望してしまった
それからというもの
故郷は上昇したり沈んだりして
胸の奥ではボロボロになっている
それへの意識がある限り
苦
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