陰影/千波 一也
たのしそうに語る
あなたの足跡を
みつけた
わたしの庭には
しばらく無い、
かげ
不本意ならば
どうぞ消し去りなさい
あなたの好きな場所を
汚すつもりなど無い
そんなにも
遠ざかるなら
言葉がさらされ過ぎて
あわれです
誰に向けて、
なんのために、
どんなこころ持ちで、
あの置き去りを
みつめていますか
わたしは単純に
待っていただけです
あなたが
夢中でかざす
そのひかりの一つでいいから
わたしの肩にも
ください、と
待っただけ
月のあかるさに
凍える声は研がれたままで
ずるいと言えばずるい
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