陰影/千波 一也
 
るい
そんなわたしかも
知れないけれど


暗いところにあれば
ただただ染まるばかりです

沈黙が
長ければ、なおさら


笑顔はすてき
よろこびもすてき

けれど
おなじ分だけ
かなしみも寒さも過ちも
すてきなことだと思います

あなたも
うたを奏でるひとなら

照らしてください

あなたのなかの
指と
夢と
本と

わたしがまだ
そこに並ぶのならば

いいえ、
並ばないとしても

その手で
その手にしか負えないものを
わたしは望みます

つなぐ、でも
捨てる、でも

つくる、でも
やぶる、でも

このままよりは
ずっといい

このまま
よりは


怒りではなく
憎しみでもない

これは、そう、
迷いのうた

わたしの知らないところで
別のわたしが生まれていないだろうかと
背中を
背中に
つたえるうた

荷を分け終える
そのまえに






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