午後四時/蒼木りん
 
社の食堂の隅の休憩スペース
テーブルは四つ

窓から空が大きい
風がブラインドのひもをゆらす


カラン カラン..


喫煙席は
そのまた隅っこ

紙コップのコーヒーは安物だから
香りも思い出に残らない

5時間だけ忘れていたことが
また頭の中を占領する

あの扉からは
もう誰も来ない


カラン カラン..


仕方がない
帰るしかない

僅かなつながりが
携帯電話の中にある

砂時計の真ん中は
時が一瞬に落ちないよう

砂が落ちる量も時が刻む速度も
空気のゆがみで曖昧なのさ


カラン カラン..


紙くず
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