哀しみ皇子/アマル・シャタカ
 
ぼくは哀しみを探索する哀しみ皇子

ひとの哀しみを歌ったりするのがぼくのしごと
あたりまえだけど、ハンカチーフはいっぱいあるの

ある日、変な人に会った
「俺は哀しみを人間に植えているのだ」
その人はそういったので
「ああ、哀しみはぼくのしごとだから、とっちゃダメ」
あわてて哀しみを取り上げた
「おまえは誰だい?」
「ぼくは哀しみ皇子」
「では皇子、哀しみとはなんだか答えられるかい?」
ぼくの手の中で取り上げた哀しみが震えている
「ばかにするなよ、かんたんさ、人生、おもい通りにいかないから、哀しむんだよ」
昨日読んだ『哀しみマニュアル』に書いてあったことだから間違いは
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