【親友の恋人略奪事件】/クローバー
 

嘘がたくさん落ちている床の上で
かつて親友と呼んでいた男とかつて恋人と呼んでいた女が
絡まったままミイラになっている

僕は、ポケットから白い手袋を取り出し装着すると
彼らの傍らに転がったたくさんの嘘を
ひとつひとつ持ち上げて、ルーペで証拠になりそうなものを探し
検証する
ミイラは動かない、動いているようには見えない。


証拠物品
優しい嘘 嘘を守るための嘘 嘘を守るための嘘を守るための嘘 ・・・
恋人だったほうのミイラの悲しみは横たわっていた嘘が朽ちることではなく
嘘を朽ちらせることなく信じた僕に、淋しいと泣きじゃくることもできない渇きであり
渇くことによっ
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