料理で俳句?海鼠/SDGs
〜本日のお品書き『海鼠』〜
関東は青関西は赤海鼠
「もうそれくらいにしていただけませんか」
店主が柔和な顔で怒っている。
ここは京都北白川「ん」。学生時代に通いつめたおでんの旨い店だ。
店は5〜6人座ればいっぱいというカウンターだけの小さな店。
北白川通りに、ただ「ん」とだけ一文字の赤い提灯が店のありかを示している。
初冬のある夜、店を覗くと“海鼠入りました”と壁にある。
「なまこ、赤?青?」
「赤」
早速もらった。しかし酢がいただけない。ミツカン。これじゃ海鼠が泣く。俺も泣く。
ふと、あることが浮かんだ。
…近所の家の塀越しに、…たしか橙のオレン
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