料理で俳句?海鼠/SDGs
 
レンジ色を、見たような…
「すぐ戻るから」

「これ使って」
「お、橙ですね。どこにありました」
「一筋向こうの黒塀の中」
「盗ってきた!?」
「そう」
店主の表情が曇った。
「お隣の、こちらさん…」
「こちらさん?」
「そう、こちらさん、黒塀の家の人」

見るとニコニコしている。
「いいですよ、どうぞ、どうぞ」
そうですか、すみません、まいったな、どうも…などといって
キンシ正宗の熱燗をやりながら、海鼠をどんどん追加。
海鼠はほぼ100%水だから腹に溜まらず、食い止めのタイミングが難しい。

「もうそれくらいにしていただけませんか」
走りの品なんだから皆に食べて欲しいんですよ、という。
店には店のストーリーがあるわけだ。

ご馳走をとりあげられた犬のような表情で、私はそれから何を注文したのだろう?
そこから先の記憶は、ぷっつり切れている。
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