ありがとう/吉岡ペペロ
 

午後の光が池の面に煌めいている

前の組が進み後ろのひとが打つまで

俺はその煌めきを見つめていた

待っているあいだに力んでしまわないように

意識を煌めきに移していた

パーボギーパーパーと続いて

知らず知らずのうちに

体幹に渇いたしこりのようなものが付着し始めていた

これが力みなのだ

前の組が進みキャディーから声がかかった

まず後ろのひとが打った

次は俺の番

池の面の煌めきを思い浮かべながら

素振りなしで打つことにした

ボールはグリーン横のバンカー方向に向かって高く上がった

6番アイアンがラフに食われて少し開いてしまったのだ

足もとに置いたクラブを拾い上げて歩きだしたと
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