日常・宇宙・哀愁/道草次郎
 
日常の5首



ジャガイモをチンするだけの簡単なこともできないそんな日もある


一輪のオオキンケイギクを手で折ってはたと花瓶の小ひびを憶(おも)う


「あの花は?」いつもの同じ質問にあれは苞(ほう)さとハナミズキさす


「シバザクラ敷き詰められた庭がいい」それからぼくはほんのりピンク


千切りを褒めればほめるほどに君遡ってゆく過去へ疼きへ


宇宙の5首



太陽のフレアのように迸(ほとばし)る海王星でしか冷やせない恋情(こい)


土星の環一億年前は無かったと言われてみればそんな気もして


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