日常・宇宙・哀愁/道草次郎
 


十六夜(いざよい)といってもそれは太陽の反射なんです月は水鏡(みかがみ)


薇(ぜんまい)の毳(にこげ)の玉のみずうみにジュラ紀揺らがず写されている


さらさらとながれてゆけばいつの日か辿りつけそうな馬頭星雲


哀愁の5首



太陽の射さない水底あるように街を想えば人恋しくなる


波音は月に捧げる海の歌さびしげなのは逢えないがため


「なあ、兄弟」言ってはみても鳩相手うなずく首が切なさのリズム


哀愁は紅茶のように冷めやすく両手でじっと包んでいたい


海岸で戯れている青春に「メメント・モリ」と書いて立ち去れ





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