フラグメンツ/雪どけ 三十一音/AB(なかほど)
 
  
 
北の空さよなら言ってふりかえる
南へ行こうとつぶやいて

もう一度振り返るから 
梅の花にも似合わない如月の風



うつつ世の涙とけてく雪々に
歩く僕らの踏み跡もなく

うつつ世に生きてる海の魂火の
雪 降るげんろ なお 降るげんろ



明日降るはずの雨は雪になるという 
いたたまれない気持ちの坂の

君の住む北の町では
もう静かに積もりはじめているのだろう

その夜はどっかの明日へつながって
さよならなんて言うもんかって



今日 雪 降り もう消えた
ことのはは 降ってはこない格子戸の窓

たぶんもう会えない君へ
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