REINCARNATION/本木はじめ
塔というひとつの崩れるあこがれや空へと伸ばした腕の傷痕
傷つけて傷つけられて庭先で裸足のままで梅の香を嗅ぐ
濁流に映りしきみの微笑みか重たき日々の波のきらめき
階段の日陰にぼくは座り込み陽だまりみたいなきみを見ている
もう何も間に合わないね何もかもかさぶたみたいに剥がされてゆく
三月の廃車置き場に原色のチューリップ一輪わすれたぼくら
狭い檻に閉じ込められてぬるぬると蛇へと変わりしきみと死す春
ロウソクを白い炎と仮定して新しきものひとつ消えゆく
雷鳴やまばたくように点滅す黒はおもいで白はげんざい
かたちから逃れ
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