SENTIMENTAL COUPDETAT/本木はじめ
 
空中に放り投げたる自転車の車輪の下の花びらが好き


背景として描かれる枯野にてかんざし拾うそれはゆうやけ


水没す古代遺跡の燭台にふたたび炎が灯る邂逅


風邪薬ばらまく園児裏山の伐採されし切り株の上


ヴェニスから流れ着いたよ一艘のカヌーあなたの岸辺もとめて


星もない夜空を円で切り抜いて湖底へ沈むあなたのゆびわ


黒蝶を燃やして遊ぶ少年の微笑み一瞬間の喪失


比喩とゆう意味はわかっているつもり砂の古城に土砂降りの恋


海岸線ゆっくり沈むぼくたちはそしてふたたびふたつの点へ


過食した時間を吐き出す術を知る少女は季節の外側にい
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