SENTIMENTAL COUPDETAT/本木はじめ
空中に放り投げたる自転車の車輪の下の花びらが好き
背景として描かれる枯野にてかんざし拾うそれはゆうやけ
水没す古代遺跡の燭台にふたたび炎が灯る邂逅
風邪薬ばらまく園児裏山の伐採されし切り株の上
ヴェニスから流れ着いたよ一艘のカヌーあなたの岸辺もとめて
星もない夜空を円で切り抜いて湖底へ沈むあなたのゆびわ
黒蝶を燃やして遊ぶ少年の微笑み一瞬間の喪失
比喩とゆう意味はわかっているつもり砂の古城に土砂降りの恋
海岸線ゆっくり沈むぼくたちはそしてふたたびふたつの点へ
過食した時間を吐き出す術を知る少女は季節の外側にい
[次のページ]
戻る 編 削 Point(18)