垂れ流し×20/ぽこぽこへッへ
 
棘のある野薔薇にそっと口づけるようにお酒を飲みなよ、きみは

お星様 えいえい力込めましょう 割れたら海に 捨てておきます

エメラルドグリーンのバッズ 煤焼けた肺に早蕨芽吹き、噎せる

ガラスから吐き出す糸を手繰り寄せ 白い煙のセーターを編む

鮮やかなカッパーオレンジで突き刺さる あの頃のこと まだ覚えてる?

ホルマリン漬けにしてある思い出は 心の奥深くの保管庫

色盲の彼のまつ毛の松明は あの世を照らす青白い火

小鼻から湧いた油の 浮世絵は 絵具代わりのスプレーで描いた

憤る数が多ければ多いほど 普段は見えない自分に気づく

ぶつかって丸みが取れた刃
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