冬のウサギ/秋葉竹
 


冬は
ウサギになる

セロリばかり食べている
それだけ食べていれば
からだじゅうが綺麗にすき透る気がして

むろん
そんなことはないんだけどね

悲しみが
薄まるような気がして

むろん
そんなこともないんだけどね

冬はかならず
ウサギになる

凍えながら
震えながら
あたたかい言葉を待ちわびる

注目するべきなのは
だれもわたしがウサギになっていると
気がつかないことだ

まぁもともと
ウサギみたいに可愛いからな
なんつって

氷砂糖をボリボリ噛み砕いて
けんめいに前歯を鍛えていたからな

しののめの朝は
さすがに涙
[次のページ]
戻る   Point(2)