冬のウサギ/秋葉竹
冬は
ウサギになる
セロリばかり食べている
それだけ食べていれば
からだじゅうが綺麗にすき透る気がして
むろん
そんなことはないんだけどね
悲しみが
薄まるような気がして
むろん
そんなこともないんだけどね
冬はかならず
ウサギになる
凍えながら
震えながら
あたたかい言葉を待ちわびる
注目するべきなのは
だれもわたしがウサギになっていると
気がつかないことだ
まぁもともと
ウサギみたいに可愛いからな
なんつって
氷砂糖をボリボリ噛み砕いて
けんめいに前歯を鍛えていたからな
しののめの朝は
さすがに涙
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