幾星霜/秋葉竹
傷だらけの闘いを
われわれは闘いつづけて来た
時代のすみっこで
うす暗いひとけの少ない鄙びた路地裏で
傷だらけの闘いを
われわれは闘いつづけて来た
『あの匂い』とか
『昭和享年』とか
『ラブホ』とか
つまりレトロな夢を与えれくれるような
町を
われわれは知っている
あのころ
『血まみれの猪』が
賑やかな都大路を
走り抜ける姿を
わが身に焼きつくすように重ねて
だから
われわれは
それぞれがひとりで
ただひとりひとりで
向かい風に向かって進んでいても
よいのだと懸命に信じ込もうとした
幾星霜、のちの
秋の葉
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