チューリップで乾杯を/まーつん
 
 
 

 
 熟成した光は
 ワインのように
 植物を酔わせる

 今日も太陽を傾けて
 星に陽射しを注ぎ込む
 女神の細腕

 木々の枝のあちこちで、
 新芽が起きて伸びをすれば
 梢に重なる古い葉が
 身を避け躱した光の滝が
 幼子たちに降りかかる
 
 笑い叫ぶ新芽たち
 初めての湯浴みのように
 頭を振って飛び散らす
 光の滴

 水底に揺れる海藻は
 波に抱かれた陽光が
 千に砕けて吐く息に
 聴き耳をたてる
 
 潮の流れの煌めきは
 鱗となって竜の背中を覆う
 
 竜はくるりと
 星に巻きついて
 自らの尾に
[次のページ]
戻る   Point(5)