鈍い夜の後の幻想/ホロウ・シカエルボク
狂った闇が朝焼けに駆逐されていく、一晩中続いた内なる闘争は荼毘に伏される、何かが終わったわけではないし、始まったわけでもない、ただ圧倒的な力によって一区切りついただけ、眠ることは出来る、眠ることは出来るけれど、黙って目を閉じるにはあまりにも納得する材料が足りなかった、終わっていないし始まってもいないのだ、少しベッドでもたもたしたあと、後のことは考えずに起きることにした、四月も終わろうとしているのに少し肌寒い、朝食になるようなものは何かあっただろうか、卵しかなかったので目玉焼きを作る、目玉焼きを自分の望み通りの状態に仕上げることが出来た時、俺は大人になったのだと思った、大人の条件、人間はとにかく
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