世界のなかの奇矯な私/私のなかの奇矯な世界/岡部淳太郎
私は何者なのか
その疑問からまずは始まる
私は この世界のなかで奇矯な存在だった
ずっとそう思っていたが
実は世界そのものが奇矯であり
私はそこに迷いこんでしまっただけなのではないか
そう疑い始めた
その間も
私は何者なのかという疑問が止むことはなかった
その「私」の存在を証すために
または 生きさせるために
世界は存在した
それを成し遂げられない「世界」など
私にとっては無価値でしかなかった
私の可能性がいくつもありえたのと同じく
いまの私を取り囲んでいる世界は
いくつもありえたはずの「世界」のヴァリアントのなかの一つでしかないとも思えた
その「世界
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)