真夜中には哀歌を、不吉な目覚めには朝の光を/ホロウ・シカエルボク
 

金属パイプで冷たい床を叩いているような音がどこかから…それがどこからなのか知りたいという思いがあったけれど、その一方で、これは現実で聞こえている音ではないのかもしれないという予感もどこかにあった、あらゆるものが俺の知らない場所で展開されている、耳を澄ましながらじっと考えているとそんな気分になって、それで少しなにかを殴りたい気持ちになったけれど、殴れるようなものなどそのへんにあるわけもなく…壁を殴っても手を痛めるだけだという程度の理性はまだあった、でも、そんなものあってもなんの役にも立たなかった、まあ、いまこの時にはということだけど―それでとりあえず寝返りをうってみたのだ、景色が変わることでなに
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