母の話 2/201
あなたを愛していると私が言う時
そこには
多分に色々な物事が含まれ過ぎていて
そしてその虚無のキャパシティのようなものを生んだのが
母だ
母がそうなる以前から
私には妙なセンスがあった
後天的なものなのか先天的なものなのかは知らない
ただ
人を信じないのだ
信じられないのか、信じたくないのか、信じようともしないのか
色々な言い方はある
でも
それはごく自然なことで
生きる分にはそっちの方が優れていると言ってもいいのかもしれない
風の音を聞くこと
光を見ること
普通の人は皆そうやって生きていると思っている
でも
本当はそれは人を介して人と共に初めて出
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