名無し人のうた/ひだかたけし
 
出発だ
朝の家から
交わり戯れる
人や花や蝶々や
雪原に穿たれ進む
野ウサギの足跡にまで

   、

ひかりうずまく
廻る色々万華鏡
いしきのしかい

奥まり高まり波立ちながら

誰かこの躍動をやめられない
きっとこれこそ今日のチャンス
滑らか煌めく羽毛を滑りながら
生動し続けるものが内から響き
これこそ確かに今日の手掛かり
誰かこの躍動をやむことなく

(ことば少なく
少ないほど
それでいい
意識の森陰に
隠れたままにて
この国のことばは
決して以下にも以上にも
意味の向こうには追い付けない)

恐怖のあまり立ち竦んでしまっても

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