名無し人のうた/ひだかたけし
 

そっとそっと覗き込み
どくどく脈動する
グロテスクで清冽で
果敢な勢い鼓動の泉の噴出
自らの内なる自然の戦慄を旋律に変え

  、

還ろうよ
明かり灯る
夕べの家で
テーブル越し
言葉交わす
花や蝶々や人々や
凍る大雪原を過る誰かの影

うずまきつづける意識のなか瞑目し
もう一度母さん父さん失って
ひとりすっくと立ち上がり
確と名無し人に戻ったら 、

内に広がる光の大洋ずっとずっと輝いている









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