恋文[529]
06/17 09:00
六崎杏介

大都会の街灯の反作用で今の穏やかな田舎の部屋でライトの点灯を交替でするのも幸いな事だと思った。
真っ暗な寝室は怖いんだ、花柄すらワインがシーツに零れたみたいで溺れるん、額の汗で、グラスの淵で靴を揃えて何時も怯えて。
目が覚めると雨が止んでいて、ハサミの病んでいた慰め方の痕跡に涙が落ちる事もなく真っ白い波がバジルの香りを重ねる朝の光。
乾いた喉はライターでハッカ煙草に着火する音が蒔いた言葉の種の為に水が欲しくて、ボトルに落下しない様注意して水を飲む。
今日は何事にも恐怖する事無く微かに香水の漂う貴方を斜向かいからこうして、抱擁と高揚と、つがいのサラダに胡椒を添えて。
それが大層美味しい事を、愛しい人よ、ただそれだけを願う。
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