しりとりの詩 3 [50]
2016 11/15 17:35
るるりら

農学が始っていた
偶然 居あわせた ふたりを乗せて
汽車は はてしないコスモスの間を 駆け抜ける
ひとりのおとこが
「花は心、種は態(わざ)である。」といえば
もうひとりが
「そうですのお ええ種がとれると ええですのお」と答え
花がより良い種を宿すための空の話 風の話
軋む窓の外のはるか水の色は おなじゆらぎ
がたんに ごとんの間の農学時間

「ほほお わたしは ノウガクシャですが、それで貴方のご職業は? 」と 聞き返し
偶然ですね。 同業でしたかと しばしの談笑
ふたりは 太陽と月のように 別々の駅で 分かれたが

ふたりのことを能楽者と農学者だったことを知っているコスモスたちが 
わさわさと 違う場所で 同じように わらっていた
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