古書肆 新月堂[9]
2004 12/25 20:09
吉岡孝次

  秋の夜

私はねずみ好きです
私のおよめさんねずみ嫌ひです
私の 小さい家で 電燈の下で
ひつそりと二人ごはん食べてると
ちつちやいねずみが
かはい目して流しもとで
私達の夕飯みてる

私のおよめさん ごはんやめて
まあ いやなねずみ しぃつしぃつ
とおひます

こりやなに言ふのぢや
かはいねずみぢやないか
とわたしも御飯やめて
ねずみのかはりに およめさんを叱る


#小川和佑『伊東静雄 孤高の抒情詩人』(講談社現代新書)より引用
#もちろん作者は伊東静雄
#ちなみに新婚三ヶ月目の頃に書かれた作品だそうです
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