生贄合評スレ[314]
2010 05/18 09:29
鵜飼千代子

>早足で通り過ぎていく
ですが、元作品は連分けはしていないわけですから、全てが性交のさなかの出来事と
取ることも出来ますね。

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ハミング/rabbitfighter

私はつらいのだと君は言う
私は不幸なのだと君は言う
誰にも顧みられない
愛されない
そうしてうつむいて
早足で通り過ぎていく
経血と精液がベットの上で混ざり合って
喜びが今産まれようとしている
悶えながら
失われてしまう
でも
産まれた瞬間に
天使になるよ
すべてが悲しみに定着して
月の周期に生と死が同期する
耳鳴りにハミングしながら
君は早足で通り過ぎていく

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「私」と「君」は同一で、別に話者がいるという考え方なのですが、6行目までは「君」の
言葉と様子。悲しみを打ち付けるように性急な行為。「早足で通り過ぎていく」の部分
ですね。
>>312 で「私」と「君」が同一かどうかと言っているのは、「話者」と「私と君」が同一か
の間違いです。「私はつらいのだと君は言う」ですから、「私と君」は同一であるのは間
違いない。「私と君と話者」が同一で、その他に蚊帳の外の性交の相手がいるという考
え方です。

7行目から15行目までは話者の言葉や気持ちと様子。それで最後の
>耳鳴りにハミングしながら
>君は早足で通り過ぎていく
ですが、「産まれた瞬間に/天使になるよ」という話者の気持ちを、疎ましいものと思い
「耳鳴り」がし性交自体には「ハミング」をしているのかもしれません。

そう読むのがスムーズな気がしてきました。
愛され方を間違っちゃっている、だけどそうしたい、悲しい気持ちの詩なのかもしれま
せんね。

>月の周期に生と死が同期する
はわかりにくいですが、巧いなと思いました。>いいと思った部分。

この詩ですが、「耳鳴り」がしているのは、男でも女でもありうるのではないかと思いま
した。夢見がちの(天使になれるって思う)男子は現代にいそう。場合によっては、「ウマ
い言葉」なのかもしれませんが。
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