「そんなこんなでいい一日でした」スレッド[927]
2005 07/17 23:09
「ま」の字

 家の横を流れる小さな川(廃川といってもいいが)には遊歩道が付いており、散歩がて
らに歩いた。大きな道を渡るとすでに原野といっていい状態なのに、赤い色の褪せ始めた
遊歩道のアスファルトはまだ続いている。湿度の高い、北海道としてはやや珍しい夏らし
い夏の景観の日だ。木立も草も没しようとする太陽も、やや甘く。結局隣りの石狩市との
境界まで、この遊歩道は続いていた。肩あたりまで茂る草々を渡ってくるのは懐かしい緑
の匂い。ゴルフの打ちっぱなしの高いネットが見え始めた。いくつかのことを思った。散
歩にでてよかった。だが、

 どうして今推敲しているあの詩を暗唱し始めてしまったか(ここがその舞台である石狩
低地だから?)・・・。

 「鳥はそらをとぶ魚 / 地は往かぬ / なのになぜ …」

 歩きながら、思い出しながらの途切れ途切れと沈黙をはさみ、恐ろしいまでの低音、小
声。ときに、まるで憎むかのように。

 なぜ涙を流したか。石狩の広漠たる低地。鳥たちの盛んな声の立つ原野で。私は憎いの
か、悲しいのか。

 住宅街までもどってきてまた思う。「憎むなど、そんなカッコ悪いことできるかよ(そ
んなひまが土台ネんだよ)。だいたいが何の得になるわけでもなし」

 きっと、いい一日だったのだろう。少なくとも、

                         印象深い日となった。
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