書き換え連詩スレッド[186]
2018 09/14 10:11
るるりら

白い朝
ステンレスにこぼれた
黴の匂いのする土から
ほどけるように根が現れた
生き方を露わにするかのような白く太い根 イイね
ふるえた私の指と心が共感してる 蒼い現象です

はじきを手にする人のように孕み膨らむ欲動を
ひとつぶのアボガドの種が湛ています
極彩色の異国で培われた花々の波乱に満ちた強欲を
薄曇りする空を見上げたことのない種が 湛ています

生々しく横たわる根を そっと救い上げ
珈琲の空き瓶に水を張り 慎重に置くと
無心に身を任せること能わずに
先細りする白い触手を
下へ下へ
ふるえるように白い根を
伸ばし、伸ばし、
伸ばしてゆく幾日もいくのです 
幾日も幾日も 伸ばし続けたある日

種は、ぱっくりと口をあける
種は、種自身を ぱっくりと二つに分かつ
ふたてに分かれたハザマから
ちいさなちいさな芽を 伸ばすではないですか
孕む命と渾身の力を持って 自身を分断した種の
鬼火のような蒼い現象

凛と露を 芽の内部の最先端に登らせて
ちろと のぞく 命のホトバシリよ

虹に両端があるように
自身を分断したアボガドの種は
つねにふるえながら虹のよう
いつかは消える虹のよう
種の内部に光る
喜びに似た優しみの乳白色
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