ケータイ優先スレ2[708]
11/29 13:11
深水遊脚

 うんと久しぶりに自分でコーヒーをいれてみた。いつ買ったか分からないくらいのコーヒー豆をハンドミルでひき、1人用のドリッパーにフィルターを水で貼付けたそのうえに投入する。ドリッパーの下には特売で投げ売りされていた安物の急須。器具は不完全でも手順は基本を守る。あらかじめマグカップに水を入れ、電子レンジで1分間チンする。そのお湯を急須に入れて急須を温め、ドリップの直前にお湯を急須からもとのマグカップに戻す。レンジでチンしている間にすでに温まっているマグカップの熱を、こうしてコーヒーを注ぐまで保つ。
 さてドリップを開始。最初の1回目のお湯は豆を蒸らすためのもの。注ぎすぎぬように、かといって小心になりすぎ蒸らすに足りない量にならぬように。豆のどのあたりにどれくらいお湯が染みたかイメージしながら注ぐ。均一に注げたらそこから1分弱待つ。この1回目がうまく行けばあとのプロセスは大胆に行って構わない。ドリッパーから溢れない程度のお湯を何回かに分けて気楽に注ぐ。飲みたい分量のコーヒーを抽出できたら、なお数滴落ちるのを待ってドリッパーを急須から離し、急須の蓋を閉めて準備完了。マグカップを温めていたお湯を捨てて、そこに急須のコーヒーを注いでは飲む。気分をゆったりとさせてそれを繰り返す。
 古い豆に錆びた腕。もっとまずいものが出来るかと思っていたが、案外うまく入った。少し不快な雑味があったが、まずまず濃厚。深いりの豆の焦げたにおいと苦味、そこに隠れたかすかな酸味が一口ごとに時間を置いて現れ、楽しめた。
 飲みながらいろいろ考えた。仕事上の段取りのまずさ、一つひとつ家事を、やれば出来るくせによく出来た妻についつい任せてしまう自分、いまは行く機会がなく足が遠のいたショットバーの、大量の注文を捌きながらも美しく仕事をし会話もするバーテンダーのこと。食べ物ネタで少しだけふれた小泉武夫氏の、味の表現を通しておそらく強く伝えようとした何か。
スレッドへ