無知の知
一絵

知らないよ!!!
ぼくはまだ無知で白くて真っ白で真っ白で
真っ白で真っ白でいつもお庭をぐるぐる
駆け回っているから

知らないよ!!!
大きい人はなんでも教えてくれるんだけど
ぼくには大きな穴が開いててそこから
いろんなものが零れていくんだ
だからぼくはまだ無知で白くて真っ白で真っ白で
真っ白で真っ白でいつもお庭をぐるぐる駆け回ってる

知らないよ!!!
大きい人が教えてくれることはほとんど
こぼれていったんだ
拾いたいけどぼくの骨は鉄で出来ているから
足元に手が届かないんだ
だからぼくはまだ無知で白くて真っ白で真っ白で
真っ白で真っ白でいつもお庭をぐるぐる駆け回ってる

知らないよ!!!

ううん、嘘。
本当は知ってるよ。
ぼくは真っ白で真っ白で真っ白で真っ白で真っ白で
真っ白で真っ白で真っ白で真っ白で真っ白で
いつもぐるぐるお庭を駆け回ってるけど

けれど誰も助けてくれないのは知ってるよ
本当は知ってるんだ。
いつかぼくの骨もさびてしまう
だけど誰も油を注してくれないし
磨いてもくれないから
真っ白のまんま真っ白のまんま真っ白のまんま
このお庭をぐるぐると駆け回れなくなる日が
いつか来るって

ほんとうは、しってる
大きい人の教えてくれた話は
大きな穴からこぼれていっちゃったけど

ほんとうは知っていたんだ
ほんとうはしっていたんだ









自由詩 無知の知 Copyright 一絵 2007-01-06 01:49:29
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