きみ (連詩) (1/2)
アンテ



きみ
                    目次

              はんたいがわから
                 しんだふり
               これっぽっちも
            つたえたくなるきもち
               ねむれないよる
             あなからだしたゆび
                ゆくえふめい
                 わんりょく
                 ころぶなら
                  あんがい
              めいわくなはなし
                   くもり
                てんこんかん
        すきとおってみえるということ
                 きみょうな
             ときどきおりてきて
                 とっておき
              ぽぷらのこみちを
               あたたかいゆび
               あなたのことば

       (2000.11.19-12.31 @FCVERSE)



  はんたいがわから


ごめんなさい
をたくさんかかえて
どうしようもなくなって
ぐるぐる
あなたは
おなじばしょをまわっている
らせんをえがいて
ぐるぐる
すこしずつ
したのかいへおりてくる
おおい
てをふって
きづかれてしまうのは
もったいないきがして
らせんのはんたいがわから
ぐるぐる
のぼっていく


  しんだふり


あなたがたいくつそうに
ほんをよんでいるので
よこでごろごろしていると
はっぱがいちまい
てんじょうからおちてきた
いきをふきかけると
はっぱはむきをかえて
あなたのほんの
ひらいたぺーじにまいおりた
あなたはふしぎそうに
へやをみまわして
またほんのつづきをよみはじめた
はっぱは
なにもなかったように
つぎのかぜをまっている
なにもないごご


  これっぽっちも


どれだけはなしても
あなたがだまって
はんのうしてくれないので
ばかばかしくなって
べらんだにでた
かぜにあたっているうち
とうへんぼく を
とんちんぼく と
いいまちがえたことにきづいた
それも
いちどやにどじゃなかった
まどからなかをのぞくと
あなたがむずかしいかおで
かんがえこんでいるので
ほかにもたくさん
いいまちがいをして
そのせいで
こんらんさせてしまったのだろうか
おちつかなくて
べらんだをいったりきたりしても
じぶんがいいたかったことを
これっぽっちも
おもいだせなかった


  つたえたくなるきもち


あなたのなまえは
くちずさんでみると
とてもよいひびきがする
ららる
こえにだして
はじめて
つたえたくなるきもちもある
ららる
こんなふうに
よびたかったんだ
ずっと
ららる
ことばにできないきもちが
なおうれしい


  ねむれないよる


あなたの
やわらかいねがおを
なんどもなでながら
あさまですごす
あなたも
ねむれないときは
こんなふうに
わたしにたよってくれているだろうか
おたがい
ねがおでみつめあえたら
どんなにすてきだろう
ぎゅうにゅうはいたつやさんが
がしゃがしゃと
たいようをめざめさせる
ちょうしょくは
ふれんちとーすとにしよう
ひとり
ふとんをぬけだす


  あなからだしたゆび


おしいれは
とじこもって
そとをのぞきみるものだと
ふかくかんがえたわけでもなく
しんじていた
あけたあなから
ゆびをだせば
ふれあうことだってできる
あなをどんどんおおきくしていけば
いつか
でぐちになる
あなたのゆびが
おしえてくれた


  ゆくえふめい


いずみをみつけるのが
じんせいのもくてきだといって
ゆくえふめいだったあなたが
とつぜん
てれくさそうにかえってきた
ちっともたのしくなかった
といいながら
れいぞうこをかってにあけて
ほらやっぱり
よーぐるときらしてる
とくいそうにわらって
びにーるぶくろを
さしだすから
べらんだにけりだして
ひとりでぜんぶたべた
おいしそうに
たばこなんかすっているから
よるになるまでいれてあげなかった


  わんりょく


むずかしいかおして
ふさぎこんでいるので
わんりょくにじしんはなかったけれど
おもいきって
あなたをうけとめてみた
あんのじょう
ささえきれなくて
ふたりしてころんでしまった
ううむ
いしにぶつけた
とあたまをかかえて
あなたがとつぜんわらいだした
おまえばかだなあ
ころがりおちたことばを
こころのなか
おしばなにする


  ころぶなら


ふたつのしゃりんが
おなじほうこうに
おなじはやさでまわらなければ
じてんしゃは
まえにすすまない
だからといって
みつめあって
こきゅうをあわせようとしたって
うまくいかないこともある
じめんをふみしめて
あてずっぽうでもいいから
せえので
ぺだるをふんでみよう
ころぶなら
はでにやろう


  あんがい


せっかく
きれいないろのふくをかったのに
あめもようだったので
いえでごろごろしてすごした
あなたはおおきながようしをひろげて
きみょうなふうけいをかいた
そらはすいかいろ
いえやくるまはみかんいろ
がいろじゅにいたっては
いちまつもようだった
えのなかにたってみると
あんがい
わたしのふくとぴったりだったので
おきにいりのいすをもってきて
おちゃをたのしんだ
ゆうがた
ようやくあめがやんだので
あなたとふたり
ふだんぎででかけた
くすんだまちをあるくあいだ
なんども
わらいがこみあげた
あなたは
みずたまりをとびこえられずに
みずしぶきをあげた



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自由詩 きみ (連詩) (1/2) Copyright アンテ 2007-01-03 00:59:33
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