鬼さんこちら手の鳴るほうへ
プル式

ぼうっと空が染まりだす
月明かりに変わり太陽の予兆
石段に腰掛ける年老いた人
賑わいの境内
泣き出す兄弟
少し先には白いテントがある
もうすぐだからね
そう言うとぐずりながらも
うなずく弟
どれくらい僕らは歩いたのだろう
人ごみに逆らえるほど大きければ
見失う事も無かったろうに
そうして見間違える事も無かったろうに
テントに着くと両親が其処に居た
世界が歪むのは怒鳴られたせいじゃない
なぜだろう弟はもう笑っている


自由詩 鬼さんこちら手の鳴るほうへ Copyright プル式 2007-01-01 15:04:53
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