晩餐
ゼッケン

You can't eat any more?
きみはまだ食えるはずだな?
顔の無い女たちを抱きたまえ
こいつらは口がないせいで声を上げることはできないが
細くて長い蜘蛛のような関節をした手足を間断なく引き攣らせ
白い背中をのけ反らせ
ばたばたと暴れまわる そんな!? 
指先をかるく当てただけで!?
きみはまずあっけにとられ それから
笑い出すだろう すると
わたくし、団長めがうやうやしく登場し
申し上げますには
こやつらめは目耳鼻口を持たぬので
穴がすべてあの穴なのでございます

EAT! 

これ以上食えないわけがないだろう?
遠慮なさらず召し上がれ 丼に山盛りの結晶
尻の穴を開きたまえ
流し込んでやろう
降り続ける灰
深まりゆく静寂のただなかに身を横たえ
静寂は無音ではない裂け目へと深まりゆく
沈んでゆきたまえ どこまでも
きみはきみが帰りたがっていた場所に還る
HIV入り血のプディング
狂牛病脳の蒸し焼き
水銀の染み出す大とろ
おれたちはまだまだ食い続けられる
なぜなら
新種!
新種、新種、新種!
出現しつづける新種
この世界では新種が生まれ続けている
加速を始めた進化がおれたちを改良する
おれたちはこの世界で改良を受け、
さらに食えるようになるだろう

You can't eat any more?
IT is PARTY! ですぞ
デザートはロープでも銃弾でもナイフでもお好みしだいだが
そいつを頼むのはすこし早すぎやしないかね?
おれたちは食い続けることができるはずじゃあないのかね?
食え! おれたちは食い続けねばならない
快楽を踏みつけにする快楽
ならば、ちょっとしたゲームだ
きみを裏切るのは誰かな? 当ててみたまえ
裏切り者を当てるゲームだ そいつを指差したまえ
うまく当てたあかつきには わたくし
団長めが
きみの尻の穴に甘い角砂糖を押し込んで差し上げましょう
ウ!ハ!ハ!
ハ!
逃げたいのならきみの持っている札束に火をつけたまえ
燃やしてしまえ
ほら、そんなことでは逃げられやしないのだ、すでに
ほら、きみはますます逃げることができなくなったな
豪華フルコース

ウ!ハ!ハ!
ハ!

逃げ場はない 逃げられやしない しかし
越えられない有刺鉄線だがそれでも諦めずに行ってみたまえ
向こう側の似たもの同士と運さえよければ
手を握り合うことができるかもしれないな
などと、やさしい言葉なら別腹かね?
そうやってきみはいくらでも食い続けるんだろう?
むしゃむしゃと食い散らかしていればいい
いくらでもわたくし、団長めが
用意してやろう さあ、
尻の穴をおっぴろげな 


自由詩 晩餐 Copyright ゼッケン 2006-12-31 07:22:12
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