アンテ

とてもいい天気だったので
カーテンを洗濯した
お風呂場で格闘して
庭の物干し竿に広げて
やっと一段落ついた
お茶を入れると
どっと疲れが押し寄せた

窓はこんなに大きかったっけ
昼間の部屋って
こんなに明るかったっけ
ガラスがずいぶん汚れている
なんだか庭は殺風景だし
庭で風にゆれているカーテンが
人に日記を見られている気分だ

つっかけを履いて
ぐるりと近所を歩いてみた
なんだかうちだけ開けっぴろげで
慎ましさに欠けている
気がして落ち着かなかった
三軒となりのタカハシさんが
玄関をきれいに掃除していた
今日は洗濯日和ですね
話しかけられて
耳の後ろのあたりが熱くなった

すっかり乾いたカーテンは
季節の香りがした
慎重に椅子に乗って
レールに取り付ける間
向かいのユミちゃんが
柵にもたれて
じっとこっちを見ていた
汚れた窓ガラス越しに
手を振ると
恥ずかしそうに家に入ってしまった
カーテンを付け終えて
部屋をぐるりと見回すと
どこかがなにか違っていて
とりあえず
お茶を入れてから考えよう
ぱちんと手を鳴らすと
気持ちが落ち着いた




自由詩Copyright アンテ 2004-04-04 01:07:06
notebook Home