離譜
木立 悟
水の上に凍る陽の音
霧の祭が去ってゆく音
緑の底を流れ来るもの
道にあふれ 道をひたす
いきどまりが双つ 手をつなぎ
傾いだ螺旋にはばたいている
岩の壁 土の壁に触れ
生まれては散る絵を午後に描く
鈴のにおい
遠のくとき
鳥は会話を
河口へ運ぶ
森 すぎる森
線の空 ふるえ
はざまには絵の音
消え 響き 冷える
風は止み
曇の明かり
雨より速く
葉は歌い継ぐ
手のひらを上
手のひらを下
ゆだねることなくゆだねては
こぼれ落ちる不確かを聴く
終わりのないものに終わりが来て
忘れられていたものが目覚めても
あふれあふれる音はあふれて
とぎれ つづき 道をひたす