離譜
木立 悟



水の上に凍る陽の音
霧の祭が去ってゆく音
緑の底を流れ来るもの
道にあふれ 道をひたす


いきどまりが双つ 手をつなぎ
傾いだ螺旋にはばたいている
岩の壁 土の壁に触れ
生まれては散る絵を午後に描く


鈴のにおい
遠のくとき
鳥は会話を
河口へ運ぶ


森 すぎる森
線の空 ふるえ
はざまには絵の音
消え 響き 冷える


風は止み
曇の明かり
雨より速く
葉は歌い継ぐ


手のひらを上
手のひらを下
ゆだねることなくゆだねては
こぼれ落ちる不確かを聴く


終わりのないものに終わりが来て
忘れられていたものが目覚めても
あふれあふれる音はあふれて
とぎれ つづき 道をひたす














自由詩 離譜 Copyright 木立 悟 2006-12-29 15:36:35
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