○○○
はらだまさる

庭に落ちた夕焼け、それだけじゃ
君を好きになる理由にはならないけれど
よく挨拶を交わす新聞配達夫がいつもよりも少し急いで
豆腐屋のラッパがいつもよりも何だか妙に心地良い
ご無沙汰だった静寂を内観する
こころ、十二月


月の見える丘に寝転んで
今まで出会った人達を順に並べて
遠く、遠く憧れに眼を細めたり見開いたり
くもった視界の向こうでくるくると踊る、幼いあの夏の日の
笑顔で砕けて、土に還る、眠る


朝、虹をみたよ、
天気雨がぼくらを祝福して
ラジオからはBossa Novaが流れて
神さまも嫉妬している
ここまでおいで


冬の空の、浮かんだ雲を
銛で突くように
朗読する、



愛してる







自由詩 ○○○ Copyright はらだまさる 2006-12-28 14:21:52
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