傘の中
ネコ助
秘密の愛になっちまった、
僕らはこれからどうしよう。
君は一人のさみしさに
ほとほと疲れて傘の中。
勝手な恋のお付き合いに
ごめんなさいって言いながら、
しっかりと僕を引く君の白い手。
どっかへ行きたいと言う。
遠くへ、もっと遠くへ、
あの雨雲の向こうへと、
君の瞳はすっかり夢の中。
秘密の傘のその中で
譲り譲られ濡れながら、
君の首筋に、
平仮名の『し』の字の雫が伝う。
人の途切れた街角で、
僕は唇でそれをすくってやった。
自由詩
傘の中
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ネコ助
2006-12-28 12:41:05
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