幻想舞踏会
夕凪ここあ

今夜は
月もちょうど半分の明るさで
なんて幻想的な夜なのでしょう

今夜は
月も森の木の天辺に腰掛けて
なんて素敵なお客様なのでしょう

丘の上から眠る町を一望して深呼吸
物音一つない小さな舞踏会

透明のドレスを纏って
揺れて 揺れて
私がささやかな歌をうたえば
風が踊る やさしいリズムで

今夜は
向こうの海岸線も静かに凪いで
私たちを見守っている

お月様
あなたの横顔はなんて美しいのでしょう

あの森の
今にも触れようとしている
一番背高の木の名前はなに

この丘から
風にでもなって一気に駆け下りれたらいいのに

私が歌えば
やさしすぎる温度の風が頬を撫でて
さらわれる私の なみだ 

今夜は
こんなに月が近いのだもの
草丈の世界だって見えているに違いない

いのり

(さっきよりかすかに湿った空
潮風のせいじゃないことを誰もが知ってても
誰も言わない 今夜は月に一度の幻想舞踏会。)


自由詩 幻想舞踏会 Copyright 夕凪ここあ 2006-12-27 23:41:04
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